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国税庁 「申告書等閲覧サービスの実施について」を公表

税務署では、納税者が過去の申告事績等を確認して適正な申告書等の作成を行う場合に、「内国税の適正かつ公平な賦課及び徴収の実現、酒類業の健全な発達」という行政目的にかなう範囲で、提出済みの申告書等(各種申請書、届出書、請求書を含む)を閲覧できるサービスを実施している。
国税庁はこのほど、申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針)を公表した。

申告書等が業務センターや外部書庫等に保管されている場合があるので、事前に税務署宛に連絡すると手続きがスムーズとなる。また、この申告書等閲覧サービスは、申告書等を作成するに当たり、過去に提出した申告書等の内容を確認する必要があると認められる場合に限って実施するものなので、第三者からの申告内容の問合せに対する回答などこれ以外の目的のためには利用することはできない。

閲覧申請は、納税地を所轄する税務署の管理運営部門又は管理運営・徴収部門(いずれも設置されていない税務署では総務課)の窓口で受け付ける。
閲覧時に記録が必要な際は、原則として書き写しになるが、デジタルカメラ、スマートフォン、タブレット、携帯電話など、撮影した写真をその場で確認できる機器を使用すること(動画は不可)などの事項に同意する場合には、写真撮影も可能となる。

閲覧サービスの対象文書は、所得税及び復興特別所得税申告書、法人税及び地方法人税申告書、復興特別法人税申告書、消費税及び地方消費税申告書、相続税申告書、贈与税申告書、酒税納税申告書、間接諸税の申告書、各種申請書、届出書、請求書、報告書等及び納税者がこれらの申告書等に添付して提出した書類(例えば、青色申告決算書や収支内訳書などをいい、所得税及び復興特別所得税申告書に添付された医療費の領収書等を除く)。

申告書等の閲覧は、納税者本人又はその代理人が行うことができる。代理人の範囲は、(1)未成年者又は成年被後見人の法定代理人(納税者が個人である場合に限る)、(2)配偶者及び4親等以内の親族(納税者が個人である場合に限る)、(3)納税管理人(納税者が個人である場合に限る)、(4)税理士、弁護士、行政書士(行政書士については、その業務として作成できる書類に限る)、(5)当該法人の役員又は従業員となる。

このサービスは申告書の作成等に資するために実施しており、閲覧により当該目的を達成できることや、個人又は法人の固有の目的のために謄写費用や事務量を負担することは公平性の観点から制約があることなどの理由により、申告書等のコピーの交付は、原則として実施いない。書き写した又は写真撮影した内容等が原本と相違ないことを証明するといったことも行なわない。

この件については↓
https://www.nta.go.jp/law/jimu-unei/sonota/050301/01.htm

税理士法の解説

税理士法

税理士法令通達集(法律・政令・省令・通達)

申告内容に疑義があるから税務代理権限証書は添付ないというのは

「税務代理権限証書」は、「税理士が税務代理をする場合にその権限を有することを証する書面」ですから、申告書を作成しただけでは添付・提出する義務はありません。

依頼者の申告書を税務署に「提出」することは「代理・代行」に該当するため、税務代理権限証書の添付・提出することになります。

申告書を税理士が作成したうえで、その申告書を納税者本人が提出する場合は、税理士の署名押印は必要ですが、税務代理権限証書の提出は不要となります。

申告書を作成はしていない税理士が税務調査の立会いをする場合、税務調査の立会いという税務代理(委任)を受けたことを証する書面の提出が必要となるため、立会いまでに税務代理権限証書を提出する必要があります。

税理士が依頼を受けながら、申告書作成(請負)、申告書提出・調査立会い(委任)した場合、署名押印しない・税務代理権限証書を提出しないことは、税理士法違反で責任を問われることにもなります。

申告内容に疑義があるから税理士が署名しないというのは

税理士の業務において、顧問先の会計処理内容およびそれにともなう申告内容について信用できないという場面はあります。顧問先が自計化している場合でや、税理士が記帳代行をしていて処理内容を問い合わせても明確な回答がないなどのケースです。

 

申告内容に疑義があったとしても、税理士が申告書の作成をした場合、その申告書には署名押印の義務があります。

 

税理士法第33条第1項(署名押印の義務)

税理士又は税理士法人が税務代理をする場合において、

租税に関する申告書等を作成して税務官公署に提出する

ときは、当該税務代理に係る税理士は、当該申告書等に

署名押印しなければならない。(以下、略)

 

申告内容に疑義があり、顧問先との 信用・信頼関係が築けない場合において、契約を解除せず、申告書を作成したのであれば、署名押印の義務があり、署名押印しない場合は税理士法違反になります。

 

また、税理士が署名押印しない場合であっても、申告書の効力は何ら変わりません。

 

税理士法第33条第4項

第一項又は第二項の規定による署名押印の有無は、

当該書類の効力に影響を及ぼすものと解してはならない。

 税理士が署名押印しないでもその税理士に責任が及ばないわけではなく、責任は何ら変わらず追及されることになります。

 

顧問先の申告内容に疑義を感じても、税理士として署名押印しないという行為は、税理士法違反で責任を問われることにもなります。



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